日も沈み、外は夜へと姿を変えた。
ガヤガヤと騒がしかった声も静まり、この学校もそろそろ寝静まる頃、体力の限界を超えた野球少年達が部室で着替えの真っ最中。
我慢
「みっはし〜。今日泊まってもいい?」
「え…た、田島君…が良けれ、ば……」
一番乗りで部室に入ってさっさと着替え、田島は三橋に抱き付き離れないでいた。
着替え辛い。そんな事、言えるわけも無い三橋はただ黙って棒になり笑っていた。
「おい、明日は練習試合なんだぞ!?」
部屋の角から届く怒声。見れば、花井が着替え途中でこちらを睨んでいる。
それも当然の事、練習試合とはいえチームのエースと四番が寝不足で体調不良なんて話にならない。
「え〜。三橋は嫌?俺、泊まったら迷惑?」
「うぁっ……いや…じゃ…ないっ」
尾尻を下げた犬の様に見つめられて、三橋は慌てて返事を返した。
「だってさ〜」
それを聞いて、再度笑み。田島は花井に見せびらかす様にガッツポーズ。
お前等の為に言ってやったのに!花井は悔しそうな顔を見せながらも、それ以上言おうとはしなかった。
「あ、あの…ね」
「なに?」
皆、解散してそれぞれが自宅へと帰って行った。二人も同様に、三橋の自宅へと帰る道を歩いている。そんな時、おどおどと声を掛けられ田島は笑顔で振り返った。
「あの…き、今日は…親…居ない、から」
「えっマジ!!?」
予想外の展開に田島の表情が明らかに崩れた。
「か、カレーもある…よ。いっぱい食べよう、ね」
「おーーーー!!!!!」
ジュルッ。カレーの一言で田島的に何かが決定。三橋の手を引き猛ダッシュで駆けて行った。
「ただいま〜…」
とか言ってみるも当然、返事なんて帰って来るわけも無くて。
「おじゃましまーっす!!」
元気に一言、田島は三橋の手を引いて家の中へと入っていった。
「先…お風呂、入る?」
うおっ!新婚みたい!!!!嬉しさの余り、体が勝手に三橋へダイブ。
「うわぁっ…重いぃ…」
「へへ。なぁ一緒に入らね?」
「う…ぅう」
握った手はそのままに、風呂ドコ?とか聞きながらも、あれよあれよと言う間に浴槽の中へ。
「あーーーー気持ちいいーーー」
「い、いっぱい汗…かいたもん、ね」
「おーー!」
暫くは他愛も無い話をして、ふと、本当に不意に、田島の目に入ったもの。
お湯に濡れて艶めく、三橋の薄い肩。
ゴクリ、イケナイ考えが田島の頭を支配し始める。
「なー三橋ー。エッチしよ?」
――間。
「?!だ、ダメ…だよっ!」
「えーなんでーー?」
子供の様に拗ねて見せて、それでも三橋は頑なに拒み続ける。
理由は一つ。
「はっ花井君に…怒られ、るっっ」
「花井?」
ブンブンと首を縦に振って三橋は浴槽の一番端まで逃げた。
ちぇー。つまらなそうに田島はお湯の中へと浸水。
諦めてくれたかな?
なんて、三橋はほっと一安心。
も、つかの間。
ザバァーーーーッッッ!!!!!
「ひぃっっ?!??!」
潜っていた悪餓鬼がいきなり目の前に姿を表した。恐怖に仰け反る哀れな少年。
「隙ありっ!!!」
チューーッ。
「んっんんっ!」
驚きに開いていた口の隙間を縫って、ベロリと舌が挿入された。
「ふっ、んっ……」
何度も何度も角度を変えて歯列をなぞり、強く吸って。呼吸の隙をも与えない位に執拗な口付け。
三橋は逃げようと試みるも、後ろは壁、横は田島の腕が固定してあって動けない。
何度もしてきたキスだけど、やっぱり何度しても慣れないもので、徐々に体の力が抜けていく。
「はっ、あ……田島、くん」
長い長い口付けも終わり、二人の間に透明な橋が掛かった。
もう一度、ペロリと三橋の唇を舐め上げて、今度はしっかりと距離を置く。
そして田島の目の前に現れたのは、頬を薄桃に火照らせ、瞳をウルウルと光らせた三橋の姿。
「やべ……止まんね」
生唾をゴクリ、もう我慢の限界。
「三橋…ゲンミツに…やろ?」
「っっ!!」
目が真剣。三橋は逃げれないと珍しく悟った。
(う、ううう…どうしよう!!)
別に本気で嫌なわけじゃないし、俺だって田島君とって……。
凄く凄ーく悩んだけど、悩んだ最後に現れるのは、怒った阿部君と花井君の顔。
そう、明日は練習試合。
まともにピッチングが出来ないとピッチャーを下ろされるかもしれない。そうすると、田島君と一緒にマウンドに上がれない。
そ、そんなの嫌だ!!!!
「だっダメ だ!!今日はやらな、い!!」
珍しく自己主張。さすがの田島も少しばかり驚いた。
「えー何でだよ」
少々ご立腹の田島にどうして良いか判らない三橋は下を向いてしまった。
「俺、三橋の事大好きなのに」
「おっ俺も田島くんの事…大好、き…だよ」
「じゃなんでダメなんだよ」
グイグイと先程やっと離れた田島の顔が、ギリギリまで詰め寄って来る。
「あ、明日の…練習試合……俺、ピッチャー最後までやりた、い」
やっとの思いで口を開いて、なんとか意思を伝えて、また下を向く。
「なんだ。そう言う事か!じゃ俺、我慢する」
「えっ本当?!」
その言葉を聞いて三橋は一気に顔を上げる。見れば、ニッと笑った田島がこちらを見ていた。
「やった後、暫く腰痛いもんなー」
「ぅうっ///」
「試合終わったらゲンミツにやろうな!」
「う、うん」
ニシシッ、ちょっとだけ意地の悪い顔を見せて、その後二人は仲良く風呂を出た。
そしてテレビを見ながら、大盛りのカレーを頬張って、仲良く布団へと潜って眠りに着いた。
本当は我慢なんてしたくないけど、大好きな三橋が辛いのはやっぱヤダ。
明日はいっぱいえっちして、
あさってもやって。
我慢した分、倍にして襲ってやる!!!
END
若いっていいね。
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