「あちー」
日曜の夕方。
西日が掛かる縁側に、高校生にしては小さな背中が二つ、仲良く並んでいた。
氷 コロリ
「三橋暑くないの?」
「あつい よ 」
今、二人は田島の家で休憩中。
部活が早く終わる日曜も、コソコソと練習をしていた。
「なんか飲む?」
「うぅ〜…おな、おなか …水で…」
「だよなー。飲み過ぎて腹たぷんたぷんしてんよ」
そう言って、田島は自信の腹を眺める。三橋もつられて自分の腹を覗き込んだ。
「ダメ!三橋の肌は俺だけのだろ?」
「ぅおっ?!?」
ただ見下ろせば良いものを、三橋はわざわざTシャツを捲りあげて見てたもんだから、田島は慌てて裾を下ろさせ怒り顔。
「誰に見られてるか判んないんだからさぁ」
「ご ごめん ね 」
素直に三橋が謝ってニコリ、田島は満足そうに笑顔を見せた。
「あっそうだ!!」
突如何かを思い立った田島は、勢い良く立ち上がって部屋の中へ入って行ってしまった。
唐突に置いてきぼりをくらった三橋は挙動不審に辺りを見渡す。
「お待たせ〜」
「た 田島、君 どうし たの」
「これ」
そう言って田島は口を大きく開き、チロリ赤い舌を三橋へと差し出した。
「え…?」
始めは意味が判らなくて、でもよくよく見るとそこには透明な何かが乗っていた。
「こお り? 」
「へーかい」
舌を出した状態でしゃっべったもんだから、何か舌足らずの様な発音になってしまい、思わず笑ってしまった。
「た 田島、くんだけ いい な 」
その言葉を待っていたのだろう、田島はニィっと笑って直ぐに自分の手を三橋の頬へと宛がった。
「ぅわっ何っ…んんッ…!」
カラ、ン―…。
歯に当たる音がして、直後口内に伝わる冷たい感覚。
「これなら腹たぷたぷしないだろ?」
「う うん」
「んで、喉も潤う」
「うんっ!!」
「ついでに涼しいのオマケ付き!」
「うんうんうんっ!!!」
田島より口移しで貰った冷たい冷たい氷。噛むのが勿体無くて、ゆっくりと転がす。
コロリ、コロ。
軽やかに奏でる氷の音に田島と三橋は肩を寄せ合い聞き入っていた。
明日もこうやって二人で過ごせます様に。
初夏の夕暮れは、静かに二人見守っていた。
END
氷の舐めすぎにはご注意を。
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