一秒でも二秒でも多く、君といたいから。
寄り道
部活が終わってお決まりの寄り道。
泥だらけの汗だらけのまま部活バック片手にコンビに直行。
「あー腹減った」
「やっぱ、おにぎりだけじゃ足りないな」
外の暗さと打って変わってコンビニの中は輝くほどに白く眩しく、どの食品もお菓子もジュースも全部美味しそうに陳列されていた。
最初の頃に比べると悩む事も少なくなり定番も出来てくるのだが、コンビニというのは新作を直ぐに出すところで毎日通っても飽きないし悩みの尽きない場所である。
高校球児とて普通の高校生で、毎月のお小遣いから買い食い代を捻出しているわけで、このコンビニで使える金額というのも一人100円以内と暗黙で決まっていた。
つまり、その100円以内で食い応えがあって、家まで行き倒れせずに帰れるモノを探すのに皆結構真剣に探してみたりして。
「肉まんにすっかな」
「俺はメロンパン」
「俺は春雨ー!」
「お、おれ…は、チョココロ、ネ」
時間的には五分も経ってない内に、ぞろぞろとレジに並んで其々買い物して外に出る。
全員揃った頃合に、誰からともなくぱく付き出して。この時ばかりは野球の話以外で花を咲かせる。
「お前ん家、今日の晩飯ナニ?」
「今日はカレーって言ってたな」
「いいなー。俺ん所は煮物って言ってた」
「美味そうじゃん!俺煮物好きだぞ?」
「うーん。嫌いじゃないんだけどさー」
女の話が出ないのも西浦ーぜらしいといえばらしいが、だいたい定番の会話と言えば互いの家の晩飯の事。聞いて如何すんだよって感じだが、我が家の晩飯を羨ましがられれば家に帰る楽しみも出来るってもんだ。
そんな事を話し合ってれば食べ物も無くなり帰るのみとなる。
「じゃー明日も頑張ろーな」
「おお。おやすみー」
「おやすみー」
まずは、コンビニを中心に上り組と下り組に分かれる。基本、上り組が多いのだが、更に寄り道するなら下り組になった方が店も沢山ある。今日も何人か下りに混じり帰る事になった。
「また二人で寄り道か?」
先頭で自転車を漕ぐ田島と三橋に後ろから声が掛かる。同時に振り返れば、花井が可笑しそうにこちらを見ていて。
「お前ら仲良いな。でも、遅くなるなよ?」
「判ってるって!な、三橋!」
「う、うん!」
こちらも既に定番となった二人っきりの寄り道。最初の頃は阿部を宥めるのに苦労した。今じゃ多少は睨んでくるが、気にさえしなければ全然平気になってきた。
「三橋、朝飯のご飯は二杯食べて来いよ」
「うん!二杯食べる、よ!」
「よし。」
分かれ道に差し掛かるにつれ一人、また一人と減って行き、最後の阿部も三橋の元気な返事を聞いて安心したのか満足そうに自宅に向かい帰って行った。
「やっと二人っきりになれたなー」
「うん」
「今日はーあの道を左に曲がろう」
「うん!」
二人っきりになった田島と三橋は別段、何をする訳でもなくただ寄り添って歩いて。普段通らない道を通って同じ場所に出たらバイバイを繰り返していた。
皆に見られたら何してんだよと突っ込まれるだろうが、俺達にとっては寄り道が貴重な時間。
「三橋ーまた明日なー!」
「田島君、バイバーイ。また明日、ねー!」
皆より一秒でも二秒でも多く、大好きな人の側に居たいから。
END
9巻の内表紙は絶対にタジミハだと思い書いてしまいました。アニメのEDの事を詳しく書いたんだと思いますが、どちらにせよタジミハ推薦にしか見えません。やだーv私の頭って幸せvv
ちなみに、肉まんやらメロンパンやら言ってるのは、本をガン見して想像で書いてみました。さて、誰が何を言ってるか判りますか?
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